失業保険の不正受給とは、ハローワークに事実と違うことを申告して、失業手当を受け取る行為のことです。
たとえば、やっていない就職活動を実績として申告したり、受給中に働いたことを隠したりすることが不正受給につながります。
厚生労働省の資料によると、次のような理由でバレるケースが報告されていました。
- 自己就職者の調査
- 部外者からの通報
- 会社・家庭等の調査
- 認定面接の際の発見
- 本人からの申出
ハローワークによる調査のほか、部外者からの通報も多いのが実状です。
失業保険を受給中は、できるだけ労働せず、就職活動を続けるのが受給者の正しい姿勢と言えるでしょう。
目次
失業保険の不正受給とは
- 実際にはやっていない就職活動を実績として申告した。
- アルバイト・パートなど労働をしたのに、申告していない。
- 自営や請負で事業をはじめているのに、申告していない。
- 会社の役員に就任しているのに、申告していない。
- 就職していないのに、再就職手当を申請した。
失業保険の不正受給とは、上のように事実を偽って、失業手当を受給することです。
正しく申告していない場合や、申告すべきものをしていない場合に「不正」となります。
不正のまま失業手当を受給すると不正受給となり、かなり厳しい処分を受けます。
不正受給の処分
- 支給停止:不正を行った日以降の失業給付を停止する。
- 返還命令:不正受給により受給した金額の返還を命ずる。
- 返納命令:返還を命ずる金額の2倍の金額の納付を命ずる。
- 財産差押え:返還、返納しないときは財産差押えを命ずる。
- 刑罰:不正が悪質な場合は詐欺罪で告訴・告発する。
不正受給については、雇用保険法によって上のように厳しく処分されます。
返還命令と返納命令の金額を合わせると、返納しなければならない金額は受給額の3倍の金額になります。
さらに返還・返納が遅れた場合は、その延滞金も加算されていきます。
不正受給がバレる理由
厚生労働省の資料によると、不正受給がバレる理由は大きく次の2つに分類されます。
- ハローワークによる調査
- 部外者からの通報・密告
ハローワークによる調査
ハローワークによる調査
不正受給の疑いがある場合には、ハローワークによる調査が行われます。
厚生労働省
- 失業認定申告書にて、就労(内職やバイトなど)の申告があった。
- 失業認定のときに不審に感じてマークしていた。
- 就職と離職を繰り返して、失業保険を何度も受給している。
などの場合は、ハローワークが不正受給を疑うきっかけになり、調査の対象になります。
部外者からの通報・密告
失業保険(雇用保険)不正受給者の告発方法を教えてください。失業保険を不正受給している者を知っています。証拠はその者からの「今日はアルバイトに行く」というメールを数通と口頭で同内容を伝えられたということのみです。これをハローワークに報告した場合、職員はきちんと調査するのでしょうか?
(中略)
この者を懲らしめる方法を教えてください。かなりふてぶてしい輩ですので、それなりの方法をとらなければ懲りないと思います。
世の中には、失業保険の不正受給を「許せない!見過ごせない!」と感じる正義感の強すぎる人がいます。
べつに他人のことに干渉しなくてもいいのでは?と思うのですが、「懲らしめたい」そうです。
「自分は給料しかもらっていないのに、あいつは給料と失業手当を両取りしてズルい!」とか思うんでしょうか。
世の中には面倒くさい人も一定数いるものです。だから、失業手当をもらっていることは絶対に話さないことです。
部外者からの通報・密告は、働きながら失業手当をもらっていることを知った同僚・知人によってハローワークにバラされるケースが多いです。
その後ハローワークが告発する
「告発」とは、犯罪の被害者が捜査機関に犯罪性を申告して、犯人の処罰を求める行為です。
不正受給の場合の被害者はハローワークになります。
ハローワークが「受給者に手当をだまし取られた。」というかたちで捜査機関に処罰を求めるのが告発です。
多くの場合は、ハローワークが不正受給者を詐欺罪で告発する流れになります。
不正受給がバレた人たち
不正受給がバレた人たちは、ネットの掲示板などで見かけることがあります。
不正受給がバレたかも…
ハローワーク不正受給についてですが、私の知り合いで不正受給をしている人がいて、仕事場は、国保、雇用保険に加入しておらず、税務申告をまだしていないので、名前が出ることはないので大丈夫だといっていたのですが、つい先日「ばれたかも」って、暗い顔をしてました。
失業保険を受給しながら、それを申告せずに働くのは不正受給にあたります。
社会保険(および雇用保険)に加入しなければバレないと思うかもしれません。
しかし、職場の人がハローワークに通報してバレるケースがあります。
会社ぐるみで不正受給してバレた人
後輩が失業手当を受給しながら身内の会社で勤務、また知人のバーでアルバイトまでしていたようです。多分密告だろうとは思いますが、私のところへ『不正受給がバレたようで、罰金を支払うお金がない』と相談がありました。
身内、親戚、知人の会社ならバレずに働くことができそうな気がします。
しかし、「失業保険を受給していること」を誰かに話してしまった場合は、それを快く思わない人がハローワークに密告してバレることがあります。
会社ぐるみで不正受給を隠している場合は、会社も罰せられます。
ハローワークから不正受給を調査された人
先日自宅にハローワークから封書が届き、調査官からの呼び出しです。確認したいことがあるので、来月に窓口にとのことです。これは不正受給について確認されるんでしょうか?現場の仕事をしており、冬の間仕事がないので失業手当を受けています。40日間の失業手当を受給されていますが、そのうち何日か同じ会社で仕事があれば働きました。同じ会社での仕事なので、失業手当の書類なども会社が作成しているので、何の問題もないかとハローワークには何日か働いたことは言っていませんでした。
辞めた会社から、辞めたあとにも単発で仕事を請けることは、とくに建設業などの現場仕事ではありがちです。
しかも、その会社が労働者の税金を納めることになるため、それが不正受給の証拠になってしまいます。
このケースでは、ハローワークの調査官から呼び出されたようなので、その時点でほぼバレているでしょう。
不正受給がバレないケース
質問:雇用保険を不正受給したことがバレなかった人はいますか?
回答:友人はバレませんでしたよ。源泉徴収のない怪しいバイトしてましたから。(キャッチみたいなの)。元締めはヤクザかも。そんな仕事ならバレません。収入報告が行政に上がらないので。
不正受給がバレないケースも存在します。
- 雇用主のポケットマネーからお小遣いとして払われた場合。
- 雇用主が反社会的な組織がおこなう闇バイトのような場合。
たとえば、知人のスナックのママに「一日だけ手伝って。」と言われてお小遣いをもらったような場合は、ハローワークも見つけにくいでしょう。
また、反社会的な組織がおこなう闇バイトのようなものも、ハローワークは関知しにくいでしょう。
不正受給がバレるタイミング
- 失業認定の面談で疑わしい受給者をマークして、その後の調査で不正が明らかになったとき。
- 不正受給している人を働かせている会社や店に、調査書が送られたとき。
- 不正受給者を、同僚や知人がハローワークに通報したとき。
不正受給がバレるタイミングは次のときです。
- ハローワークに調査されたとき
- ハローワークに通報されたとき
ハローワークに疑われると、不正受給がバレるきっかけになります。
また、同僚や知人などがハローワークに通報することがあります。
失業保険を受給中は、できるならバイトなどはせず、就職活動に専念することで、安全に失業手当をもらい続けていけるでしょう。
もしバイトなどをしても、失業保険を受給中であることは、絶対に話さないようにすることです。
まとめ
- 失業保険の不正受給とは、ハローワークに事実と違うことを申告して、失業手当を受け取る行為のこと。
- 不正受給の処分は重く、返納しなければならない金額は受給額の3倍の金額になる。
- 不正受給がバレる理由は、ハローワークによる調査、部外者からの通報・密告。
- お小遣いや闇バイトなら、不正受給がバレないケースも存在する。
- 不正受給がバレるタイミングは、ハローワークに調査されたとき、ハローワークに通報されたとき。
- もし、できるだけ長く失業手当をもらいたいなら、応募や面談をしないで実績をつくるのが気楽。たとえば、転職サイトのセミナーを受講する方法なら、1回の受講で1回分の実績になる。
会社ぐるみの雇用保険搾取事件
雇用保険3900万円詐取、職安が大学生ら91人告訴
札幌市内の携帯電話販売会社などの3社が、同市内の大学生ら200人以上と架空の雇用契約を結び、うち約90人分の雇用保険金約3940万円をだまし取っていたことが北海道労働局の調べで分かった。
これを受けて札幌公共職業安定所など札幌市の三つの職安は14日午前、詐欺容疑でうち1社の男性社長(71)や同社の経営するマージャン店支配人の男性(46)ら事件の主立ったメンバー6人と保険金を受け取った学生ら計91人を北海道警に告訴した。
労働局によると、3社は昨年1月から11月にかけ、大学生ら203人と雇用契約を結び、約半年後に離職したという虚偽の内容を三つの職安に報告。雇用関係があったと偽るため、学生らに約半年分の給料を払ったとする離職証明書を偽造、うち89人が職安から雇用保険金をだまし取った疑いが持たれている。学生らは口コミで勧誘を受け、マージャン店支配人らに預けた通帳の口座に雇用保険金の振り込みを受け、職安に行くごとに報酬として1万~1万5000円を受け取っていた。
日本経済新聞電子版 2003年3月14日