失業保険の給付制限期間とは【2ヶ月に必要な求職活動回数と支給時期】

自己都合で退職した場合、

給付制限中に、どんな求職活動を何回やればよいのか。

というのが、分かりにくくて不安になるものです。

自己都合の場合は、失業手当の支給開始が給付制限の期間分だけ遅れます。

給付制限は、以前は3ヵ月間でしたが、令和2年10月より2ヵ月間となっています。

給付制限2ヵ月とは言っても、最初の失業手当が支給されるのは、受給資格決定日から3ヵ月後になります。

そのため、給付制限期間を乗り切るためには、ある程度のたくわえが必要になります。

給付制限中の求職活動実績は、転職サイトのセミナーを受講する方法でも実績にできます。応募や面接をしなくて済むので気楽です。
失業保険を一度もらうと次は何年後?【リセットで1年間もらえない】

給付制限期間とは

給付制限期間とは、退職理由が自己都合の場合に、失業手当の支給を2ヵ月間行わない制限がかけられた期間のことです。

給付制限の分だけ支給開始が遅れることになります。

支給額が減らされるということではありません。

給付制限の対象となる自己都合の退職とは、次のようなものです。

  • 自分の意思、または一身上の都合による退職。
  • 自分に重大な責任がある理由をもって懲戒解雇された退職。
  • 定年による退職。
  • 更新を希望せず契約期間満了となった退職。

給付制限のない会社都合の退職とは次のようなものです。

  • 倒産
  • 解雇・リストラ
  • 雇止め

自己都合を会社都合にできるのか

「失業保険をすぐもらえるように会社都合にしてあげるね。」と、会社側が配慮してくれることがあります。

しかし、転職活動において、会社都合は有利に働かないことがあるのは知っておくべきことです。能力不足による解雇や雇止めを疑われる原因になるからです。

自己都合で「ステップアップのために退職しました」とする方が好感を持たれやすいでしょう。

給付制限はなぜあるのか

給付制限は、長期間にわたって失業状態にあることで失業手当の支給の必要性を示すために設けられています。

失業等給付の制度は、もともと、自分の意思に関係なく離職させられた場合の生活の保障と再就職の援助が目的です。

ただ、自分の意思で退職した場合でも、失業の状態が長く続くと生活の保障が必要になります。

そこで、『給付制限』という一定の期間に失業状態が続いていることを条件として失業手当を支給できることになっています。

給付制限期間は現在は2ヵ月に短縮された

給付制限は、以前は3ヵ月間でしたが、令和2年10月1日以降は2ヵ月に短縮されています。


出典:厚生労働省『「給付制限期間」が2ヵ月に短縮されます』.pdf

給付制限が2ヵ月になるのは、最後の離職日からさかのぼって5年以内の離職が2回までに限ります。詳しくは厚生労働省の案内をご覧ください。

給付制限がある場合の支給時期

給付制限がある場合、最初の失業手当が支給されるのは受給資格決定日から約3ヵ月後になります。

給付制限自体は2ヵ月間ですが、実際には次のような期間をて支給されます。

  1. 待期:受給資格決定日から7日間(1週間)
  2. 給付制限:待期の翌日から2ヵ月間
  3. 認定日:給付制限明けから約2週間(最初の支給分)
  4. 振込日:認定日から5営業日以内

また、最初の失業手当の額は、給付制限明けから認定日までの2~3週間分になります。

給付制限期間の求職活動

  • 給付制限明けの認定日に必要な求職活動実績は2回分
  • ハローワークの職業講習会への参加 =1回
  • 自分で行った求職活動 =1回

給付制限明けの認定日までに行わなければならない求職活動は、職業講習会の1回分を含めて、合計2回分が必要になります。

自分で行わなければならない求職活動は1回ということになります。

職業講習会(初回講習)とは、受給資格決定日の数週間後に行われる強制参加の講習会です。雇用保険説明会と同時期に行われます。職業講習会に参加することで、最初の認定日に必要な1回分の求職活動実績を得ることができます。

給付制限明けの認定日を最初の認定日だと考えるのは間違いです。こちらの記事で解説しています。

再就職手当に関わる給付制限中の条件

再就職手当を申請する場合には、給付制限中の求職活動に関わる条件に注意する必要があります。

その条件とは、「給付制限の最初の1ヵ月間に行う求職活動がハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であること」というものです。

給付制限の最初の1ヵ月間とは

給付制限の最初の1ヵ月間とは、給付制限に入った日付から翌月同日の日付前日までのことです。

たとえば、2月10日に給付制限に入った場合は3月9日まで。(給付制限は4月9日まで。)
たとえば、7月30日に給付制限に入った場合は8月29日まで。(給付制限は9月29日まで。)

給付制限の1ヵ月目に行った求職活動で再就職手当をもらう場合は、ハローワークか職業紹介事業者の紹介で就職する必要があります。

ただし、給付制限の1ヵ月目以降は、どのような求職活動による就職であっても再就職手当をもらうことができます。

職業紹介事業者とは、厚生労働大臣の許可番号を持っている職業紹介事業者のことです。インターネットで利用できる転職サイトや転職エージェントのほとんどは許可を受けています。

再就職手当は、早めに就職すればするほど多くもらえます。失業手当を一回も支給されないうちに就職すれば一番多くもらえます。

まとめ

  • 給付制限期間とは、退職理由が自己都合の場合において、失業手当の支給を2ヵ月間行わない制限がかけられた期間のこと。
  • 給付制限期間は、令和2年10月1日以降は2ヵ月に短縮された。
  • 自分の都合・責任において仕事を辞める場合は、自己都合になる。
  • 給付制限がある場合に、最初の失業手当が支給されるのは、受給資格決定日から約3ヵ月後。
  • 給付制限明けの認定日までに自ら行わなければならない求職活動は1回。