ハローワークでもらった紹介状を辞退（キャンセル）しても求職活動実績になります。
紹介状を辞退したとしても、職業相談の時点で実績になっているからです。
失業認定申告書を見るとわかるとおり、「公共職業安定所による職業相談、職業紹介」を実績として申告できます。
失業認定申告書には、職業紹介された1社への求職活動を実績1回分として記入します。辞退したことをわざわざ記入する必要はないです。
この記事では、ハローワークの紹介状を辞退しても求職活動実績にする方法について解説します。
目次
紹介状を辞退しても実績
- 職業相談した時点で実績だから
- 紹介状を辞退することは本人の自由だから
ハローワークの紹介状を辞退しても、職業相談の時点で求職活動実績になっています。
「ハローワークで紹介状をもらって面接すれば実績になる」と誤解している人も多いようですが、正しくは「ハローワークで職業相談すれば実績になる」です。
そもそも、紹介状を辞退したことは実績とは関係ありません。
「紹介状を辞退したら、仕事を探す意欲が無いと思われるのではないか？」という心配はしなくて大丈夫です。
紹介状をもらったあとに、よくよく考えて「やっぱり辞めよう」という判断をするのは自然なことです。
紹介状を辞退するときの理由
「紹介状をもらったんですけど、検討してみて希望とは違うので辞退することにしました。」
紹介状を辞退するときは、紹介状をハローワークに返すか、ハローワークに連絡して辞退する旨を伝える必要があります。
なお、紹介状を辞退したせいで失業手当が中止されることはないので、ご安心ください。
応募しないのは自由
紹介状をもらったけど応募しないという判断をするのは本人の自由です。憲法で保障されている「職業選択の自由」にまでハローワークは口出しできません。
それに、応募したかどうかは、失業保険の認定とは関係ありません。職業相談をしたことが求職活動実績になるからです。
職業相談をして雇用保険受給資格者証に押印さえもられえば、それが求職活動をした証拠になっています。
紹介状を送らない場合
- 応募前の辞退・キャンセルは取り消しできる
- 紹介状を送らないならハローワークに返却する
ハローワークで紹介状を出されたけど、やっぱり送らないことにした場合は、辞退することを伝えてキャンセル（取り消し）できます。
応募前の辞退でキャンセルできる
紹介状をもらったものの辞退したいときは、応募前にハローワークへ辞退することを伝えます。
応募してしまうと、企業側にも連絡する必要があります。
辞退するなら応募前にするのが楽です。
「紹介状をもらったんですけど、検討してみて希望とは違うので辞退することにしました。」
紹介状を送らないなら返却する
紹介状を送らないなら、その紹介状をハローワークへ返却することで、辞退を伝えることもできます。
ハローワークへ行ったついでに、受付で紹介状を返却するのが良いでしょう。
私は一度、ハローワークで8社の紹介状を出されたことがあります。さすがに8社は対応できないので、そのうちの1社の不動産会社には応募してみました。ただ、この不動産会社の求人票を見直してみると、給与が歩合制となっているのがどうもひっかかります。やっぱり考え直してメールでお断りしました。残り7社の紹介状は、次の週にハローワークの窓口で返却しました。辞退の理由は聞かれませんでした。失業認定では、職業相談した事実を求職活動実績として申告。もちろん問題なく失業手当をもらいました。
紹介状の無視や放置は支給停止
正当な理由がないにもかかわらず、ハローワークが紹介する職業に就くことを拒んだときは、その日から1か月間「基本手当」は支給されません。
東京労働局『雇用保険受給資格者のしおり』
ハローワークから紹介状を出してもらったのに、その紹介を無視したり放置したりすると支給停止になることがあります。
ハローワークが紹介状を出したことは、企業側に伝わっています。そのため、紹介状を無視して面接に行かないという行動は、ハローワークの面目をつぶすことになります。
職業紹介で紹介状を出した履歴は、ハローワークのデータに残っています。紹介状を無視したり放置したりすることを繰り返すと、今後はハローワークの紹介状をもらえなくなることもあります。
紹介状をもらったけど…
紹介状の辞退は職業選択の自由であり、ハローワークも面接したかどうかなんて求めていません。彼らが知りたいのは、2回の求職活動をしたかどうかです。ハローワークの認定員は「2回の求職活動をしたのなら、失業手当を出してあげたい」と考えてくれています。
しかし、雇用保険説明会でさんざん脅された我々は勘違いしてしまいます。失業手当を出ししぶるために、認定という関所を設けているのだと。
でもそれは違います。認定員と話をすると、彼らがいかに善意的かわかります。失業して困っている人に失業手当を出してあげたいのです。ただし、厚生労働省が決めた失業手当の支給要件である求職活動2回分を実績で見せてください。ということなのです。
職業相談や職業紹介は一連の『求職活動』になります。つまり、職業相談・紹介は求職活動実績なので、ちゃんと失業認定されて失業手当をもらうことができます。
まとめ
- ハローワークの紹介状を辞退しても、職業相談の時点で求職活動実績になっている。
- 紹介状を辞退するときは、紹介状をハローワークに返すか、ハローワークに連絡して辞退する旨を伝える必要がある。
- 紹介状をもらったけど応募しないという判断をするのは本人の自由。
- ハローワークで紹介状を出されたけど、やっぱり送らないことにした場合は、辞退することを伝えてキャンセル（取り消し）できる。
- 紹介状を送らないなら、その紹介状をハローワークへ返却することで、辞退を伝えることもできる。ハローワークへ行ったついでに、受付で紹介状を返却するのが良い。
- ハローワークから紹介状を出してもらったのに、その紹介を無視したり放置したりすると支給停止になることがある。
- 求職活動実績が目的なら、転職サイトで求人に応募する方法や、セミナーを受講する方法でも実績になる。セミナーは応募や選考をしなくて済むので、面接にわざと落ちる必要もなく求職活動実績をつくれる。
【知識】職業選択の自由をハローワークは侵せない
知識として知っておくと良いのは、憲法で定められた職業選択の自由のことです。
日本国憲法第22条第1項
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
日本国民である以上、個人が職業を選ぶ自由を誰も制限することはできません。紹介状を辞退することは、当然、職業選択にあたる行動であり、個人の自由です。
辞退についてハローワークがとやかく言ってくることはないし、失業手当にも関係ありません。「紹介状まで出したんだから、採用されたら絶対そこで働いてくださいよ！」と言う権利など、ハローワークごときにはありません。
日本では自分で職業を選んでよいのですから、辞退することは自由なのです。